噛み合わせ治療・顎関節症治療
噛み合わせと顎関節症〜全身の健康を支える、お口のバランス
日常に潜む、身体の不調。
もしかしたら、その根本的な原因はご自身の「噛み合わせ」のほんの僅かなズレにあるのかもしれません。
噛み合わせとは上下の歯が、どのように接触するか、というお口のバランスのことです。
このバランスが崩れると歯や歯ぐきだけでなく、顎の関節、顔周りの筋肉、ひいては全身の骨格にまで、予期せぬ大きな負担をかけてしまうことがあります。
当院では一本一本の歯の状態を見るだけでなく、お口全体を一つの精密なシステムとして捉え、その調和を取り戻すための噛み合わせ治療、そして顎関節症治療に力を入れています。
噛み合わせの不調が引き起こす、様々な問題
噛み合わせのバランスが崩れた状態を放置してしまうと、お口の中や全身に、様々な問題が連鎖的に、引き起こされる可能性があります。
| 影響部位 | 具体的な問題 | 症状 |
|---|---|---|
| 歯への直接的なダメージ | 特定の歯への過剰な力 | 歯が欠ける、すり減る、ヒビが入る / 歯ぐきが下がる / 知覚過敏 |
| 歯周病の悪化 | 顎の骨へのダメージ | 歯槽骨の吸収加速 / 歯周病の進行 |
| 顎関節症 | 顎の関節・筋肉への負担 | 顎の痛み / 関節音 / 開口障害 |
| 全身への影響 | 筋肉の緊張 | 頭痛 / 肩こり / 首の痛み / めまい / 耳鳴り |
歯への直接的なダメージ

特定の歯にだけ過剰な力がかかり続けることで、歯が欠けたり、すり減ったり、ヒビが入ったりすることがあります。
また、歯の根元に強い力が集中し、歯ぐきが下がる原因や知覚過敏を引き起こすことも少なくありません。
歯周病の悪化

噛み合わせの力が特定の歯に、過度に加わることはその歯を支える、顎の骨(歯槽骨)にダメージを与えます。
歯周病にかかっている場合、この過剰な力が骨の吸収を、さらに加速させ、歯周病の進行を早めてしまう大きな要因となります。
顎関節症
噛み合わせの不調は顎の関節やその周りの筋肉に、直接的に負担をかけます。
これが顎関節症の、代表的な原因の一つです。

主な症状
- 口を開けたり、閉じたりする時に顎が痛む
- 口を開けると耳の前あたりで、「カクカク」「ジャリジャリ」といった音がする
- 口が大きく開けられない
- 口をまっすぐに開けられない
全身への影響

噛み合わせがずれると身体は、無意識のうちにそのズレを、補正しようとします。
この時、首や肩、頭部の筋肉に余計な緊張が生まれ、これが慢性的な頭痛や、肩こり、首の痛みなどを引き起こすことがあります。
めまいや耳鳴りといった、症状との関連性も指摘されています。
顎関節症
顎関節症は決して稀な病気ではありません。
多くの人が程度の差こそあれ、何らかの症状を抱えていると言われています。
顎関節症とは
顎関節症は顎の関節(耳の穴の前あたりにあります)とその周りにある、食べ物を噛むための筋肉(咀嚼筋)に何らかの異常が生じる、病気の総称です。
主な原因
顎関節症の原因は一つに特定できることは稀です。
多くの場合、以下のような複数の要因が、複雑に絡み合って発症すると考えられています。
噛み合わせの不調和
歯並びの乱れや合わない被せ物、歯を失ったまま放置していることなどによる、噛み合わせのズレが顎の関節に負担をかけます。
生活習慣や癖
無意識に行っている日々の癖も、大きな原因となります。
代表的な癖
- 歯ぎしり、食いしばり
- 片方の歯ばかりで食べ物を噛む癖
- 頬杖をつく
- うつ伏せで寝る
精神的なストレス
精神的な緊張は身体の筋肉をこわばらせます。
特に睡眠中の歯ぎしりや食いしばりを、強く引き起こす大きな要因となります。
当院の診断と治療アプローチ

噛み合わせや顎関節症の治療は、非常に繊細で多角的な視点が求められます。
当院では場当たり的な対症療法ではなく、根本的な原因を見極め、長期的な安定を目指す丁寧な治療を基本方針としています。
全ては、精密な診断から始まります
正しい治療は正しい診断なくしては、あり得ません。
当院ではまず、現在の状態を正確に把握するため、以下のような詳細な検査を行います。
検査項目
- 問診
いつから、どのような症状があるか、生活習慣や過去の治療歴などを詳しくお伺いします - 顎の動きの検査
お口がどのくらい開くか、開閉時に痛みや音がないか、顎の動きに左右差はないかなどを視診、触診で確認します - レントゲン・CT検査
顎の関節の骨に変形などがないかを画像で詳細に確認します。CT検査では三次元的に骨の状態を把握できます - 歯の模型検査
歯の型を取りお口の中の模型を作製します。模型を咬合器という、顎の動きを再現する装置に装着し、噛み合わせの状態をあらゆる角度から精密に分析します
症状を和らげる初期治療
強い痛みやお口が開けにくい、といった急性症状がある場合は、まず、それらの症状を和らげるための初期治療から開始します。
スプリント療法(マウスピース)

患者様一人ひとりの歯型に合わせて作製したオーダーメイドの、マウスピース(スプリント)を主に、夜間に装着していただきます。
スプリントを装着することで顎の関節や筋肉を、安静な状態に保ち、リラックスさせることができます。
また、歯ぎしりや食いしばりから歯を守る効果もあります。
生活習慣の指導
頬杖や片側噛みなど、顎に負担をかける無意識の癖を自覚し、改善していただくための助言を行います。
根本原因に働きかける治療
スプリント療法などで急性症状が落ち着いた後、精密診断で明らかになった根本的な原因に対して働きかけていきます。
このアプローチこそが症状の再発を防ぎ、長期的な安定を得るために重要です。
矯正治療による噛み合わせの再構築

歯並びそのものが噛み合わせの、不調和の主な原因である場合には、矯正治療によって歯を、正しい位置へと動かし、お口全体の噛み合わせのバランスを根本から再構築します。
被せ物や義歯による高さの調整

歯がひどくすり減ってしまったり、歯を失ったまま放置していたりすることで噛み合わせの高さが、低くなってしまっている場合があります。
この場合はセラミックなどの、精密な被せ物で歯の高さを回復させたり、入れ歯やインプラントで失われた部分を補ったりすることで正しい噛み合わせの高さを取り戻します。
噛み合わせの微調整

全体のバランスを大きく変える必要はないものの、特定の歯が強く当たりすぎている場合にはその部分を、ほんの僅かだけ削合し、滑らかな顎の動きを妨げないように調整します。
継続的な経過観察と調整
噛み合わせは一度、治療すれば終わり、というものではありません。
治療後も定期的にご来院いただき、噛み合わせが安定しているか、症状が再発していないかなどを継続的に確認していきます。
必要であればスプリントの調整や噛み合わせの微調整を、随時行い、長期にわたって快適な状態を維持できるようサポートいたします。
097-582-2200