予防歯科・PMTC
「治療」から「予防」へ〜未来の自分のための新しい歯科習慣
歯科医院に対して「痛い」「怖い」「行きたくない」という気持ちをお持ちの方は、少なくないと思います。
しかし、その一方で定期的に歯科医院へ通うことを楽しみにされている方々がいることを、ご存じでしょうか。
なぜなら、その方々は歯を「治療」するために来るのではなく、健康な状態を「維持」するために通院されているからです。
そこには歯を削る音も、麻酔の注射もありません。
あるのは専門家による心地よいクリーニングと、お口の中がさっぱりとする爽快感、そして「今回も異常なし」という安心感です。
予防歯科とは虫歯や歯周病になってから治療するのではなく、そもそも、そうした病気にならないようにするためのお手伝いをすることです。
当院は、この「予防」こそが皆様がご自身の歯を生涯にわたって守るための、重要で賢明な選択であると確信しています。
治療を繰り返さないために
歯科医院が苦手な方ほど痛みを我慢できなくなるまで、ご来院を先延ばしにしてしまう傾向があります。
その結果、治療が大規模になり、通院回数も増えてしまうという、望まない循環に陥りがちです。
負のサイクル
- 「歯医者は怖いから、できるだけ行きたくない」
- 痛みが我慢できなくなり、仕方なく歯科医院へ行く
- 案の定、虫歯は進行しており、神経を抜くなどの辛い治療が必要になる
- 痛みが消えると、通院をやめてしまう
- そして、また別の歯が痛み出し、①に戻る
このサイクルを繰り返すたびに、お口の中から大切な歯が一本、また一本と失われていきます。
できるだけ痛い思いをしたくない、と願っているはずが結果として多くの治療と苦痛を経験することになってしまうのです。
この悪循環を断ち切り、未来の歯を守る。
それが、予防歯科の目指すゴールです。
毎日の歯磨きだけでは不十分
「毎日きちんと歯を磨いているのに、どうして虫歯になるのだろう?」
そう疑問に思われる方もいらっしゃるでしょう。
もちろん、ご家庭での日々の歯磨き(セルフケア)はお口の健康の基本であり、非常に重要です。
しかし、残念ながらセルフケアだけではお口の汚れを100%取り除くことはできないのです。
細菌の砦「バイオフィルム」の存在

お口の中の細菌は互いに強く結びつき、「バイオフィルム」と呼ばれる、粘着性の高い膜を歯の表面に形成します。
これは台所の排水溝や、お風呂場のぬめりのようなものです。
このバイオフィルムは強力なバリアとなり、うがい薬はもちろん、日々の歯磨きでさえも、その内部にいる細菌まで届きにくくしてしまいます。
そして、このバイオフィルムこそが虫歯や歯周病の根本的な温床となるのです。
プロフェッショナルケアの重要性

一度形成されてしまった強固なバイオフィルムは、ご家庭の歯ブラシで完全に取り除くことは、極めて困難です。
このバイオフィルムを破壊し、徹底的に除去するためには歯科医院で、歯科衛生士のような専門家が専用の機器を用いて行う「プロフェッショナルケア」が不可欠となります。
当院の予防プログラム
当院ではセルフケアとプロフェッショナルケア、その両輪を効果的に組み合わせることで、虫歯や歯周病になりにくい、良好なお口の環境作りをサポートします。
PMTC(専門家による機械的歯面清掃)

PMTCは歯科衛生士が専用の機器とフッ素入りのペーストを用いて、歯の表面の汚れを隅々まで磨き上げるクリーニングです。
歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目など、歯ブラシが届きにくい場所のバイオフィルムや歯石を、徹底的に除去します。
処置の後は歯の表面が驚くほどツルツルになり、汚れの再付着を防ぐ効果も期待できます。
痛みはなく、むしろ心地よいと感じる方が多い、当院でも人気の予防処置です。
TBI(歯磨き指導)

毎日行う歯磨きだからこそ、その質を高めることが予防への近道です。
しかし、自己流の磨き方ではどうしても磨き癖がつき、特定の場所に汚れが残りがちです。
当院では歯科衛生士が患者様一人ひとりのお口の状態や歯並びを拝見し、その方に合った歯ブラシの選び方から、効果的な磨き方まで、丁寧にご指導します。
フッ素塗布

フッ素には歯の質そのものを強くし、虫歯菌が出す酸に溶けにくい歯にする効果があります。
また、ごく初期の虫歯であればフッ素の作用によって再石灰化(自然治癒)を促すことも可能です。
定期的に高濃度のフッ素を塗布することはお子様だけでなく、大人の方の虫歯予防にも、大きな力を発揮します。
ご家庭でのセルフケアをより効果的に
日々の歯磨きの質を高めるための、いくつかの要点をお伝えします。
歯ブラシの選び方
歯ブラシは硬すぎると歯や歯ぐきを傷つける原因となりますので、「ふつう」の硬さが基本です。
歯周病が進行している方は、より柔らかいものをお勧めします。
毛先は歯と歯ぐきの溝にしっかり届く、細いものが良いでしょう。
また、毛先が開いた歯ブラシでは清掃効果が落ちるため、1ヶ月を目安に新しいものと交換してください。
歯の磨き方の基本
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 持ち方 | 力が入りすぎないよう、鉛筆を持つように軽く握る「ペングリップ」が基本。 |
| 当て方 | 歯ブラシの毛先を、歯と歯ぐきの境目に45度の角度で当てる。 |
| 動かし方 | ゴシゴシと大きく動かすのではなく、数ミリ幅で小刻みに、優しく振動させるように磨く。 |
| 磨く順番 | 磨き残しを防ぐため、「右下からスタートして、一周する」というように、ご自身で磨く順番を決めておく。 |
持ち方
力が入りすぎないよう、鉛筆を持つように軽く握る「ペングリップ」が基本です。
当て方
歯ブラシの毛先を、歯と歯ぐきの境目に45度の角度で当てることが重要です。
動かし方
ゴシゴシと大きく動かすのではなく、数ミリ幅で小刻みに、優しく振動させるように磨きます。
磨く順番
磨き残しを防ぐため、「右下からスタートして、一周する」というように、ご自身で磨く順番を決めておくと効果的です。
定期検診は未来への投資

お口の中のバイオフィルムは除去してからおよそ3ヶ月で、再び形成されるといわれています。
そのため、当院では3ヶ月に一度の定期検診を、お口の健康を守るための基準としてお勧めしています。
もちろん、患者様のお口の状態によって、その間隔は調整いたします。
定期検診のメリット
- 数ヶ月に一度、数時間だけの歯科医院での時間
- 将来の虫歯や歯周病治療で必要な時間・費用・苦痛を防ぐ
- 「未来への投資」として、生涯の健康をサポート
数ヶ月に一度、数時間だけ歯科医院で過ごすこと。
それは将来、虫歯や歯周病の治療で多くの時間、費用、そして苦痛を費やすことを防ぐための、賢明な「未来への投資」です。
私達は治療が終わった患者様との関係を、そこで終わりにはしません。
生涯にわたる健康のパートナーとして、末永く寄り添い、皆様の大切な歯を守るお手伝いをしていきたいと考えております。
097-582-2200