コラム
歯周病による口臭とは？においの特徴・治療・予防法まとめ
こんにちは。由布市庄内町の歯医者「小野歯科医院」です。
「歯茎からの出血があり、口臭も強くなった気がする」と感じていませんか。口臭の原因はさまざまですが、その中でも注意が必要なのが歯周病による口臭です。
この記事では、歯周病と口臭の関係や、歯周病の口臭の特徴、自分でできるチェック方法、さらには治療法や予防法について詳しく解説していきます。歯周病による口臭の正しい知識を身につけ、適切なケアや治療を始められるよう、この記事を参考にしてください。
歯周病と口臭の関係
歯周病と口臭には密接な関係があり、病気が進行するほど口臭も強くなる傾向があります。ここでは、歯周病がどのようにして口臭を引き起こすのか、その仕組みを解説します。
歯周病菌が産生する揮発性硫黄化合物
歯周病は、歯と歯茎の間の溝（歯周ポケット）に細菌が繁殖することで起こる病気です。歯周病菌は、食べかすや剥がれ落ちた口腔内の細胞などのタンパク質を分解する際に、揮発性硫黄化合物（VSC）と呼ばれる気体を産生します。これが、強烈な口臭の正体です。
歯周病菌は、酸素の少ない環境で活発になります。健康な歯茎では歯周ポケットが浅いため、細菌が繁殖しにくい状態が保たれますが、歯周病が進行するとポケットが深くなり、細菌が定着しやすい環境へと変化します。
特に、酸素の届きにくい奥深い部分では、揮発性硫黄化合物の産生量が増える傾向があります。
歯周ポケットからの膿や出血
歯周病が進行すると、歯周ポケットから膿や血液が出るようになります。この膿や血液自体のにおいも、口臭の一因です。
膿には細菌や壊死した組織が含まれており、これらが分解される過程でさらににおいが強くなります。加えて、出血した血液中のタンパク質も歯周病菌の格好の栄養源となり、分解される際に悪臭を放ちます。
炎症が慢性化し膿や血液が出続けることで、口臭も持続的なものになっていくのです。
歯石や歯垢の蓄積
歯周病が進行すると、歯と歯茎の境目や歯周ポケットの内部に歯垢や歯石がたまりやすくなります。細菌の塊である歯垢が付着したまま時間が経ち、石灰化して固まったものが歯石です。その表面はザラついているため、さらに細菌が付着しやすく、悪循環を招きます。
これらに含まれる大量の細菌が、常に揮発性硫黄化合物を産生し続けるため、口臭が慢性化します。歯石は通常の歯磨きでは除去することができないため、歯科医院でのクリーニングが必要です。
歯周病による口臭はどんなにおい？
歯周病による口臭には、独特の特徴があります。
腐った玉ねぎのようなにおい
歯周病による口臭で最も多いのが、腐った玉ねぎや生ゴミのようなにおいです。これは歯周病菌が産生する揮発性硫黄化合物の一種である硫化水素や、メチルメルカプタンによって引き起こされます。
硫化水素は腐った卵のような刺激臭を放ち、メチルメルカプタンは腐った玉ねぎや魚のような強烈な悪臭を生じます。特に、メチルメルカプタンは毒性が強く、歯周組織を破壊するため、歯周病をさらに悪化させる要因となります。
膿や血のような生臭さ
歯周病が進行して膿がたまると生臭いにおいとなり、血液が混ざると金属のようなにおいが強まります。特に、朝起きたときや長時間口を動かしていないときは、唾液が減少するためにおいが一層気になりやすくなるでしょう。
膿のにおいは歯磨きだけでは改善が難しく、歯周病そのものの治療が必要です。
どぶや下水のようなにおい
重度の歯周病になると、どぶや下水のようなにおいと例えられるほど、口臭はさらに強烈になります。複数の揮発性硫黄化合物に加え、膿や血液、壊死した組織のにおいが重なって発生します。
この段階まで進行すると、本人だけでなく周囲の人にも口臭が気づかれやすくなり、社会生活に支障をきたす可能性があります。
自分で口臭をチェックする方法
口臭は自分では気づきにくいものです。ここでは、手軽に確認できるチェック方法を紹介します。
コップやビニール袋を使う方法
清潔なコップやビニール袋に息をため、その中のにおいを確認すると、自分の口臭を客観的に把握しやすくなります。起床直後や食後、歯磨き後など時間帯を変えてチェックすると、自分の口臭の傾向がわかってくるでしょう。
舌や歯茎のにおいを確認する方法
清潔な指やティッシュを使って、舌の表面や歯茎を軽く触れてからにおいを嗅ぐ方法も有効です。歯と歯茎の境目を指で触れた後ににおいを嗅ぐと、歯周ポケットからのにおいを確認できることがあります。
もし腐敗臭や生臭さを感じた場合は、歯周病の可能性が高いといえるでしょう。
デンタルフロスで確かめる方法
歯と歯の間に通したデンタルフロスのにおいを確認する方法もあります。特に、歯周病が進行している部分では強いにおいを感じやすく、歯茎の状態の把握に役立ちます。
家族や信頼できる人に確認してもらう
最も確実な方法は、家族やパートナーなど信頼できる人に直接確認してもらうことです。他人のほうが客観的ににおいを判断できるため、より正確な評価が得られるでしょう。
なお、周囲の人に頼みにくい場合は、歯科医院で口臭測定器を使った客観的な検査を受けることもできます。
歯周病による口臭は治療できる？
歯周病による口臭は、適切な治療を受けることで改善が期待できます。ここでは、歯科医院で行われる主な治療方法をわかりやすく解説します。
歯科医院で行う基本の歯周病治療
歯周病治療の基本として、まずは専門的なクリーニングが行われるのが一般的です。歯石は歯磨きでは取り除けないため、歯科医院でのプロフェッショナルクリーニングが欠かせません。
代表的な処置には、歯の表面や歯周ポケットに付着した歯垢や歯石を取り除くスケーリングや、歯周ポケット内部をきれいにし、歯根の表面を滑らかに整えるルートプレーニングがあります。これらの処置によって歯周病菌の量が減り、口臭が落ち着くことも少なくありません。
また、日々のセルフケアの質を高めるためにブラッシング指導が行われることもあります。自分では気づきにくい磨き残しやすい箇所の磨き方、歯ブラシの正しい使い方を知ることで、普段のケアがより効果的になります。
定期的なクリーニングと適切なセルフケアを続けることで、歯周病の予防効果が高まり、健康な口腔環境を維持しやすくなります。
進行した歯周病の治療
中等度から重度の歯周病になると、歯周ポケットが深くなり、細菌がより奥まで入り込むため、さらに専門的な治療が必要になります。感染した組織を取り除いて歯茎が回復できる状態に整える処置や、歯茎を開いて深い部分の歯石や感染組織を徹底的に除去する外科的な治療が行われる場合もあります。
こうした処置によって汚れや細菌をしっかり取り除くことで、強い口臭が改善する可能性があります。
歯周病による口臭を予防するには
ここでは、歯周病に伴う口臭を抑えるためにできる対策を紹介します。
正しい歯磨きの方法を身につける
歯周病を予防する上で欠かせないのが、日々の正しいブラッシングです。歯ブラシは歯と歯茎の境目に当て、優しく小刻みに動かしましょう。奥歯の裏側や歯並びが入り組んでいる部分など、磨き残しやすい箇所を意識して磨くことが大切です。
歯磨きのタイミングは、できれば毎食後に行うのが理想的で、就寝前には必ず磨きましょう。
デンタルフロスや歯間ブラシを活用する
歯ブラシだけでは、どれだけ丁寧に磨いても、歯と歯の間の汚れを十分に除去できません。デンタルフロスや歯間ブラシなどの歯間清掃用具を使用することで、効率的に清掃が可能です。
デンタルフロスは、歯と歯の間に優しく通し、歯の側面に沿わせながら上下に動かして使います。歯間ブラシは、歯と歯の間の隙間の大きさに合ったサイズを選び、歯間に挿入して前後に動かして汚れを取り除きましょう。
生活習慣の改善
歯周病を防ぐためには、日々の生活習慣を整えることも重要です。喫煙は歯周病の大きなリスク要因として知られており、吸わない人と比べて病気が進行しやすいです。禁煙することで、このリスクを大きく下げられるでしょう。
さらに、栄養バランスの取れた食事、十分な睡眠、ストレスを溜め込まない生活習慣は、免疫力を高めて歯周病菌に対する抵抗力を強くしてくれます。また、糖分の多い飲み物やお菓子などの摂取を控えることも、細菌の増殖を抑える上で有効です。
定期的な歯科検診
どんなに丁寧にセルフケアをしていても、歯垢を完全に取り除くことは容易ではありません。そのため、3〜6か月に一度は歯科医院で定期検診やクリーニングを受けることが推奨されます。
定期検診を受けることで、歯周病や虫歯などのトラブルを早期に発見・治療できる可能性が高まります。さらに、自分では気づきにくい磨き残しを指摘してもらえるため、日常のケアの質も向上するでしょう。
プロフェッショナルケアとセルフケアを継続的に組み合わせることで、歯周病による口臭を効果的に防ぎ、健康的な口腔環境を維持しやすくなります。
まとめ
歯周病による口臭は、細菌が発生させる揮発性硫黄化合物が原因であり、腐敗臭に近い強いにおいとなることが少なくありません。これを放置するとさらに悪化していくため、早めの治療が推奨されます。
治療によって歯茎の炎症が改善されれば、口臭も大きく軽減される可能性があります。口臭が気になるときは、一人で悩まず早めに歯科医院へご相談ください。
歯周病や口臭の治療を検討されている方は、由布市庄内町の歯医者「小野歯科医院」にお気軽にご相談ください。
当院では、30年以上の経験を持つ院長が一人ひとりに合わせた治療を提供しています。一般歯科から、マウスピース矯正やインプラントなどの治療も行っていますので、お口のお悩みはぜひご相談ください。
