歯周病治療
歯周病の原因とは

歯周病は、歯周病関連菌といわれる菌(以下「歯周病菌」と記載します)が炎症を引き起こすといわれています。
歯周病菌は、歯垢(プラーク)という細菌の固まりの中に存在します。
口の中で細菌はバイオフィルムという薄い膜を作り歯に張りついています。
お薬を使った歯周治療
以前の治療は、その菌を減らすために患者さんに一生懸命、歯ブラシで磨いてもらっていました。
歯科医院では歯石を削り取ったり、ひどい場合は悪い歯ぐきを手術で切り取ったり、歯を抜いてしまうこともありました。
しかし、それでも歯周病菌を除菌することは不可能だといわれてきました。
歯周病は菌が原因なのであれば、その菌を薬で除菌すれば改善できるのではないかという考えで、先人たちはさまざまな試みをされましたが、不可能ではないにしろ、さまざまな理由からそれは実現することができませんでした。
しかし、近年ようやくそれが可能になりました。それが、お薬を使った歯周治療です。
お薬を使った歯周治療の流れ
STEP①検査
お口の中の歯垢(プラーク)を少量だけ採取し、それを位相差顕微鏡で観察します。
顕微鏡で見ることで、口の中の歯周病菌の存在、量を確認できます。
STEP②診断
STEP③治療
使用するお薬は、内服として、歯周病菌に有効な抗菌薬と歯磨剤として抗真菌剤を処方します。
STEP④再検査
歯周病菌の状態が改善されたのを確認後、歯周ポケット検査を行い、歯石とり(病態によって回数は異なります)を行います。
STEP⑤メンテナンス
良くなった歯ぐきを長く維持させるために2~6カ月ごとの定期検診を推奨しています。
歯周病の進行

① 健康な状態
また、歯と歯ぐきとの溝が浅く少々の刺激では出血することもありません。
歯周病は一度なってしまうと、その状況から悪くなるのを防ぐことしかできません。
とにかく、若いうちから歯周病の存在に気付いてもらい、予防していくのが非常に重要になります。

②歯周病の初期(軽度歯周炎)
歯槽骨の吸収が歯根の上部のみに見られる程度では、ほとんどの場合歯は動揺しません。
口臭はこの初期の段階からみられます。歯と歯ぐきとの溝も深くなり始めますが、これを「歯周ポケット」といいます。

③ 歯周病の中等度(中等度歯周炎)
ここまで進行してきますと、出血以外に歯ぐきの腫れ、自発痛、排膿などが起きてきます。
歯も動揺し始め急激な痛みによって噛むことが困難になることが増えてきます。
ほとんどの方はこの段階で初めて異常に気付き歯科医院を訪れます。

④歯周病の重度(重度歯周炎)
中期の症状に加えて噛み合わせが崩れることも多く、腫れ、自発痛、排膿、出血、動揺などの個々の症状が強く出る傾向にあります。
この段階では歯を残すことはできないケースがほとんどです。

歯周病がもたらす全身への悪影響
周病はさまざまな全身疾患のリスク(危険要因)になります。
歯や歯ぐきの健康は口の中だけではなく全身と関係しています。
口の中には何百種類という細菌が生息していますが、口の中から身体の中に入り込むとさまざまな病気を引き起こすことが知られています。
例えば、心臓病、肺炎、糖尿病、早産などです。
歯周病は歯周病菌のかたまりである歯垢(プラーク)や歯石による歯ぐきの炎症ですが、たかが口の病気とあなどってはいけません。
肺炎
歯周病菌が肺に感染し肺炎になることがあります。
心臓病
重症になると歯周病菌による炎症から血栓(血の固まり)ができやすくなるため、動脈硬化を招き心筋梗塞や狭心症などを引き起こすことがあります。
また、心臓の内側にある心内膜の炎症を引き起こし、細菌性心内膜炎になる場合もあります。
糖尿病
歯周病が糖尿病を引き起こすだけでなく、糖尿病の患者さんが歯周病にかかっていると血糖コントロールが難しくなり、さらに悪化してしまう可能性があります。
早産
歯周病菌による口内の炎症が胎児の成長に影響し、早産を引き起こすことがあります。